映画祭初日、ウィルホールでオープニング作品「今、このままがいい」が上映され、上映後はプ・ジヨン監督とユ・スンヨン プロデューサーによるゲストトークが開催されました。
監督は、「この映画をつくったきっかけは?」という質問に対して「私自身、2つ年上の姉がいて何年か前に姉妹旅行をし、その体験をきっかけに今回の映画の「姉妹の父親探しの旅」を思いつきました。また、今回の映画のテーマは「家族」ですが韓国の伝統的な「家族」ではなくシングルマザーやシングルファザーなど現実に存在していても、認知されず守ってもらえない家族を表現したいと思いました。そのため、今回は「性同一性障害」という性少数者の問題と結びつけて現在の家族の多様性を表現しました。」と述べました。
また、映画のなかで性同一性障害をもつ父親を演じた俳優と性転換後の叔母を演じた俳優について聞かれると、監督は「はじめに言っておきますと、父親役の俳優と叔母役の俳優は違う方です。」と笑顔で答えた後、「俳優をキャスティングするときはあまり気をつかいませんでした。叔母役の俳優はもともと、声優をしていた方で声が気に入ったので叔母役をお願いしました。父親役の俳優との違和感があってはいけないと思っていましたが、実際には違和感はほとんどなかったと思います。」と語りました。
最後に、今後の作品について聞かれると「現在、今回とは別の映画会社と契約を結びシナリオを書き始めています。映画会社との打ち合わせや支援してくれる企業を探さなければならないので、公開はいつになるか分かりません。次の作品も、今回同様、家族についてです。次回作の家族は両親がいて子どもがいるという家族構成ですが、私自身一般的ではなく認められない家族に関心があるのでその観点から映画をつくっていきたいと思っています。」と答えました。
また、プロデューサーは、「もう一度プ・ジヨン監督と作品をつくりたかったのですが、残念ながら出来なくなりました。次回作については、私自身が今独身ということもあってロマンティック・コメディーを制作したいと考えていて、現在シナリオを制作中です。」と述べました。
司会者からの質問のほかに観客からもいくつかの質問があり、そのなかには女性のイメージが偏っているのではないかという指摘や有名な俳優さんの出演料は高額だったのではといった興味深い質問もありましたが、最後は会場から大きな拍手がおこり、和やかの雰囲気のなか終了しました。
(平松)